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-カンムリウミスズメの海をまもろう!-   財団法人 日本野鳥の会  岡本裕子       

■カンムリウミスズメという鳥を知っていますか?
 カンムリウミスズメは、日本近海のごく限られた島にだけ生息する、体長24cmほどの小さな海鳥です。海鳥は、世界に約300種、日本ではその3分の一にあたる約100種が確認されていますが、近年、海洋環境の悪化などにより、全世界の海鳥の40%、国内では60%が絶滅のおそれがあります。カンムリウミスズメも、例外ではありません。その生息数は、宮崎県の枇榔島、伊豆諸島を中心に5000羽ほどで、日本国内だけでなく世界的に保護の必要な種として、IUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧種に指定されています。


(写真) 撮影:中村豊

(イラスト) 関口尚

■カンムリウミスズメってどんな鳥?
 外見は黒と白の2色で、ペンギンを小さくしたようです。特徴は頭についている冠のような羽。つばさが短く体が重いので、空を飛ぶことは得意ではありませんが、海では大好物の小さな魚を追って、パワフルなつばさで水をかき、水中を飛ぶように泳ぎます。カンムリウミスズメが陸にあがるのは、子育ての時期だけです。人が近寄れない島の崖や、急な斜面の岩のすきまに卵を産み、雌雄で協力し合って、1ヶ月もの間交代であたためます。陸上生活が苦手なカンムリウミスズメにとって、子育ての期間は外敵に襲われやすく最も危険です。一刻も早く海の生活に戻るために、ヒナは生まれて1〜2日で巣を離れ、崖から転がるようにして広い海に旅立つのです。

■生息環境の悪化と、カンムリウミスズメの危機
 近年、私たち人間の活動が自然環境に与える影響は、深刻な問題となっています。カンムリウミスズメの暮らす海洋環境も、タンカー事故などによる油汚染や、ゴミによる汚染、人の手によって持ち込まれたり数を増やした生きものによる影響を受けています。タンカー事故で海に大量の油が流れ出ると、カンムリウミスズメのような鳥は、体に油が少し付いただけでも命を落としてしまいます。また、繁殖地でカラスやネズミが増えると、卵やヒナ、時には親鳥が食べられてしまうこともあります。今、地球上でわずか5000羽のカンムリウミスズメ。私たち人間が原因で絶滅させてしまうことは避けなければなりません。

■日本野鳥の会はカンムリウミスズメを守る活動に取り組みます
 カンムリウミスズメは、日本の固有種であり、世界的にも貴重な海鳥です。日本野鳥の会では、これまでにも伊豆諸島の三宅島を中心にカンムリウミスズメの保護をすすめてきましたが、海洋における生物多様性の危機的な状況を背景に、創立75周年を迎える2009年、カンムリウミスズメを海洋環境保全のシンボルに選び、より一層の保全活動に取り組むこととしました。私たちは、カンムリウミスズメの保護を通して、海鳥と彼らを取り巻く海洋生態系を守っていきたいと考えております。

■カンムリウミスズメを守る活動を、応援してください!!
 カンムリウミスズメは、子育ての時期をのぞいて一生のほとんどを海の上で過ごし、人が目にする機会はほとんど無いため、その存在も、どんな暮らしをしているのかもあまり知られていません。私たちは、繁殖地への上陸調査や、漁船を使った洋上調査を行いカンムリウミスズメの繁殖環境や実態を把握し、減少の原因を分析し、その保護を進めてまいります。同封の「バードメイト」は、気軽に当会の活動をご支援いただくことのできる、寄付のご案内です。一口1000円のご寄付で、かわいいカンムリウミスズメのピンバッジをひとつプレゼントいたします。カンムリウミスズメを守る活動を、多くの方に応援していただけると嬉しいです。どうぞご協力をお願いいたします。


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