鳥のはなし

~ アオゲラ ~


 新築した伊豆高原の家の軒に、アオゲラが穴を開けてしまった話は、以前小紙編集後記で紹介しました。その後、その巣は、ムクドリに乗っ取られてしまった訳ですが、今年になって、彼は帰って来ました。どうも、ねぐらとして使っているようで、早朝、夜明け頃になるとゴソゴソして、屋根裏を飛び出して行きます。そして、庭のクヌギの木に止まって「ピョーッ、ピョーッ」。
 アオゲラは、日本の本州、四国、九州にしか生息しておらず、日本固有種です。固有種というと、ヤンバルクイナなど、希少種というイメージがありますが、本種は、セグロセキレイと並んで、比較的身近な野鳥です。アカゲラは未だ山林の鳥ですが、アオゲラの場合、住宅地に隣接した雑木林でも繁殖しています。
 ところで、アオゲラの名前について、疑問に思ったことはありませんか?青くないのに何故アオゲラ?って。他にも、アオバトやアオジも体色は緑色です。そして信号の青も、どちらかといえば緑。どうやら古来の日本人は緑をアオと呼び、青は瑠璃(ルリ)と呼んでいたようです。(オオルリやルリビタキ)。


ワンポイント・アドバイス Ⅱ
 本州に生息するキツツキ4種(クマゲラ、アオゲラ、アカゲラ、コゲラ)は、そのシルエットでも見分けがつきます。とくにクマゲラとコゲラは、他種との違いは顕著だと思いますが、アオゲラとアカゲラでも、その違いは有ります。バードカービングで大切なのは、細かなディティルよりも、むしろそうした遠目でもその鳥らしさ(※1)が、表現できるかという点があげられます。そのような見地からして、一見シルエットでは見分けがつかないようなアオゲラとアカゲラでは、前者のほうが体とのバランスで頭が大きく感じますし、丸っこい頭のアカゲラに対してアオゲラはやや長く感じます。
 パーツで見ると、キツツキ類の多くに言えることとして、クチバシは“木つつき”ならではの形状をしています。それは、木を叩くことに起因していると思われますが、上クチバシの嘴峰と会合線の間に一筋の峰が存在しています(※2)。またアオゲラのクチバシの先端は、尖っておらず、“のみ”のように平たくなっています。これは、クマゲラにおいては、さらに顕著です。
 キツツキは、ご存知のように木の幹に垂直に止まります。それゆえカービングにおいても、幹に対して爪はしっかり立てて、尾は、木の幹に密着させることが重要なポイントです。
 ペイントに関しては、緑色に見える背中は、金色も混ざっている点が見落としがちです。とくに腰から上尾筒にかけては、ほとんど黄色く(金色使用)見えます。

※1:バードウォッチングの間でも、その鳥の特徴的なポーズや印象によって識別したり、楽しむといった鳥見の仕方があり、Jiss(ジズ)と呼ばれています。
※2:北米に棲むハシボソキツツキは、その和名の通り、ヒヨドリに似た細く湾曲したクチバシをしています。



参考資料 ・スタディバード/アオゲラ‥\2,310.
     ・パターン集SongbirdsⅣ‥\785.
     ・カラーチャート/アオゲラ‥\1,260.
              (いずれも当工房制作)
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